代表取締役 都築学 インタビュー
「Active Challenge」
都築社長の人柄・思考とは
1. 飲食業界について
飲食業界の現状を教えてください。
日本の飲食業界は二極化が進んでいると感じています。
コロナ禍が明けてから、東京・大阪・京都・北海道・沖縄を中心にインバウンド需要が高まってきていることはニュースでも取り上げられているとおりです。そんな背景から過去最高売上を出しているエリアがある一方で、お客様が戻らないエリアもあるのが現状です。
今後もこの二極化はどんどん激しくなって、インバウンドで賑わうエリアとそうでないエリアとが明確になっていくと思います。
また、飲食業界全体が人手不足というのも、もう一つの現状です。
コロナの影響で飲食業界やホテル業界などのサービス業界から一気に働く人がいなくなり、なかなか戻っていません。それが原因で会社やお店を閉めてしまうということもあります。
働き手を集めるのが難しい現状は、特に地方に行く程その傾向にあると感じており、今後、そのようなことが拡大されていくと予想しています。
飲食業界が二極化すればする程、お客様も働き手も雇用条件の良いところに集まって、その差がどんどん広まっていくというのが2023年〜2024年あたりの動きだと思います。
今後の飲食業界で、生き残り続けるために必要なことについて教えてください。
そらが取り組んでいることでもありますが「チャレンジ」だと思います。
幹部メンバーも巻き込んで一緒にチャレンジし続ける、成長し続けることがすごく大切だと思っています。
色々なチャレンジをしていくのが大事だと思っているので、例えば海外出店にチャレンジするチームがあったり、1店舗だけに特化して良いお店を作るチャレンジをするチーム、100店舗出店にチャレンジするチームがあったりすると楽しいですよね。
そうすることで従業員の多様性を認めることに繋がるので、人が離れていかない会社になっていくと考えています。
加えて、飲食業界特有の給料や労働環境、地位の低さを改善していくことも、これから飲食業界で生き残り続けるためには重要です。
そのためには賃金上昇と労働時間の短縮をすること、これもチャレンジですね。
会社にいながら、誰でもどこでもチャレンジできる環境を作っていくのが、すごく大事だと思っています。
2. そらグループの企業としての強みについて
そらグループの強みを教えてください。
業態がたくさんある点だと思います。
1店舗に集中している業態もあれば、20店舗ほど展開している業態もあり、幅広い業態をとっているのが強みですね。
また、それらを支えている幹部陣の退職がない点も強みです。幹部陣は7年・10年と長年勤務しているメンバーがほとんど。これはポストがないという訳ではありません。新しいポストができ、新しいマネージャー陣・幹部陣も生まれる中で、ベテラン勢がしっかりしているので簡単には崩れない体制ができているということです。
あとは、今チャレンジできる環境があるというのは強みだと思っています。
社内で今注力しているサービスやプロジェクトを教えてください。
時代としてインバウンド需要が高まっていることもあり、直近では働くスタッフの英語力・英会話力向上を目的としたプロジェクトを立ち上げました。
希望者は週2回の英会話を約6ヶ月間、全48回分を無料受講できるようにしています。
英会話を身につけながら接客に活かすことができるよう立ち上げた当プロジェクトですが、上手くいけば第二、第三、第四と開催数を増やしていく方針です。
そしてもう一つ、社内の結束力を取り戻せるようなプロジェクトにも注力しています。
飲食業はやはり人と人との関わりがすごく大事です。だからこそ、コロナ以前のような結束力を取り戻す取り組みを積極的に行っています。
例えば、10年勤続メンバーで北海道旅行へ行ったり、新入社員と秩父でラフティングしたりしています。
最近ではマネージャーのみんなでキャンプ合宿を開くなど、遊びと仕事をセットで行える取り組みを行っています。
今年から来年にかけてはこうした動きをさらに加速させ、より結束力を高めること、そして飲食業の楽しさ・人と関わる楽しさを感じられる取り組みをみんなでやっていきたいです。
その他にも、オフィス移転やカフェ業態の強化、好調のシェフズプロジェクトも抜かりなく進めていく予定です。あくまで飲食業が軸ではあるものの、現在はスポーツストレッチやカーセールスなど色々な事業を打ち出しています。
当社が掲げる「生活を彩るコトづくり」が進む一方で「結束力がちょっと薄まっているな…..」と感じることもありました。
それだけに、原宿へのオフィス移転をきっかけにより一丸となっていければと思っています。
社外に向けてはどのようなことに力を入れていますか?
社外に向けた取り組みとしては、引き続き良いものを出していきます。
現在はカフェ業態、中でもミッドツリーカフェが非常に好調です。
2019年秋の出店時は開店後半年でコロナになったこともあり、売上が芳しくなかったものの現在は軌道に乗りました。席数に対する売上規模も大きく、何よりお客さまから支持を受けているので、より伸ばしていきます。
好調なシェフズプロジェクトも、対象店主たちみんながやる気に満ちてくれているので、引き続きやっていきます。
海外に行ったり、2店舗目・3店舗目の出店も考えています。
3. 企業理解
日本の飲食店としてそらグループが目指すところを教えてください。
例えば「川も山も綺麗な場所がありますが全然人が来ない。じゃあどうすれば良いか?」という課題があったとき、僕たちが一緒になって食を絡めて、土地の価値を上げていければ良いと思います。
具体的にはホテル事業をもう一度復活させたいと考えています。
そらグループは店舗数や売上高など規模の拡大は目標としていません。
大きなビジョンとしては、場所の価値を上げていくこと・日本全体の価値を挙げていくことにチャレンジしていきます。
ホテル事業でしていきたいことを詳しくお聞かせください。
今までは大きいホテルや高級志向的なホテルのニーズが多かったのですが、最近では田舎に出掛けて川で魚を釣ったり餅をついたりと、体験型リゾートの価値が高まってきました。国内外でツーリストの環境が変わってきています。
一方で、旅行客としてはトイレは綺麗な方が良いし、お風呂は絶対入りたい、布団は高級なものが良いという希望もあります。
日本の原風景的な体験を求める一方で、そういったニーズに応えると必然的にグランピングになり、グランピング施設がどんどん増えているし文化になりつつあります。そして、この動きは流行りで終わらないと考えています。
弊社もその流れに参加していきながら、最初からやりたかった道の駅・サービスエリアに着目してホテル・観光事業を展開していきたいと思っています。
なぜ道の駅やサービスエリアかというと、そば、中華、カフェ、イタリアン、スパニッシュなど多岐にわたるジャンル、その土地で採れたものを提供できる体制を含め、全てやれるのは当社しかいないと思っているからです。
現在展開しているストレッチ事業と飲食・宿泊事業をミックスさせて、健康をテーマにした宿泊や新しい体験を生み出せば、きっと面白いことができるのではないかと想像しています。
異なる事業をミックスさせて新しい価値を作る取り組み、ワクワクします。
そもそも飲食店の位置づけは観光業で、宿泊やディズニーランドと同じものです。だから、食と泊まりと遊びが一体となった広がりのある“コト”を目指しています。
そうなれば「飲食って面白いね」「可能性が無限だよね」と感じてもらえるのではないでしょうか。すでにこうした取り組みをしてらっしゃる先輩企業さんもありますが、追いつけ追い越せで、これからもチャレンジしていきます。
そして、これらの取り組みを通じて弊社の店舗がある土地の価値、引いては日本全体の価値を上げたいと考えています。
4. 働きがい
そらグループが求める人物像を教えてください。
SOLAグループの頭文字である、S:straight(真っ直ぐに)、O:originality(個性を大事に)、L:love(愛情いっぱいに)、A:alive(イキイキ働く)を求めています。
社員が働きやすい環境を作るために、社として取り組んでいることを教えてください。
まず労働環境の整備ですね。10時間拘束、9時間労働を事業部としては取り組んでいます。
独立したいメンバーも多かったので今までは手作りに拘っていたのですが、現在は一部外注をして時間に拘って取り組んでいます。
そして、給料アップにも取り組んでいます。
週休2日で月給25万円としているのですが、頑張ればさらに給料アップが狙える仕組みを作っています。管理職も実績によりますが、40万円+インセンティブまで上がる仕組みに変えました。
今後利益の出る業態が増えていくのに合わせて、この仕組みを改善しながらさらに増え幅を上げていくことが大事かなと思っています。
そして、より大事なのが人との出会いですね。
入社して一生働き続ける人ばかりではありません。3年や5年でやめる人がいるのはしょうがないと思っています。一人一人の人生なので。
ですが、その数年で一生物の仲間に出会えたらもっと素敵じゃないですか。僕はここをものすごく大切にしています。
なので、やる気がない人ばかりの会社よりも、めちゃくちゃやる気のある人ばかりの会社の方が楽しいし、一生物の出会いが作れると思っています。
せっかく入社してくれたので、たくさんの仲間に出会って、その出会いがすこしでも人生の中で価値のある出会いになってもらえたら良いなという想いです。
最後にイベント開催です。みんなで結束力を高めること+色々なアイディアのきっかけになれば良いなと思っています。
色々なものを見に行き、良いと感じたものを持ち帰って事業に活かしていく。今後はそういう機会も大事にしていきます。
御社で働き続けることによって、どのような選択肢が生まれますか。
人それぞれですが、自分のやりたいことが実現できるチャンスを得ることができますね。
描く未来は人それぞれなので、その人が描きたい未来をまずは上司に言って欲しいです。店長やマネージャー、もっと言うと代表の僕にまで。
そして、それが本気だったら私たちは全力で応援します。そういう会社です。
弊社を傍から見るとグチャグチャしているように見えてると思います。
1店舗を突き詰めている人がいたり、20店舗を運営している人がいたり、業務委託という道を選んで独立している人がいたり、別会社の社長をやっている人もいます。
一人ひとりの思いを大切にしながら創業から続けてきた結果として、多様性に富んだ今のような形になったのです。
なので、今後もあまり型にはまらないで欲しいなって思います。レールを敷かれるのってつまらないですよね。だったら今を一生懸命頑張って、未来をしっかり語って欲しいです。
もし描く未来がないならそれで良いんです。目標と夢がなくても良いんです。
そしたら、目標と夢がある人が必ず上司にいます。店長やマネージャーや僕がいるので、その人たちの目標や夢の実現に向けて一緒にやってみてください。
そのうちに必ずやりたいことが出てくると思います。
5. VISIONについて
HPでは「世界一の体験づくりカンパニーになる」という言葉が印象的ですが、「体験(コト)づくり」とは具体的になんでしょう。
飲食の事業でいうと、お店での料理やサービスの提供だけではなくて、+αの“体験”を生むというのがすごく大事だなぁと思っています。お客様はおいしいご飯を彼女と食べに行く、お祝いをする、久々の旧友と会うなど、色々なシーンがあります。
そこに対して理解をしたうえで、ただ料理を提供するだけではなくて「じゃあ、どうしたらお客様が喜ぶか?」を考えて提供するのがすごく大事だと考えています。
単純に「美味しかったなぁ」「ここのお店、早くて旨くて安い」ではなく、例えばジンギスカンだったら、焼き方がわからなかったら焼き方を教えてあげて、北海道で美味しいトップ3まで教えてあげたりします。
すると美味しいジンギスカンを食べただけじゃなくて「ジンギスカン通」にもなれる。それもコトです。
北海道へ行ったときに「じゃあ、行ってみますね」っていう話になる。「体験づくり」ってそういうことかなぁと思っています。
6. 最後に
最後に、若者へのメッセージをお願いします。
国内はもちろん、世界的に見ても飲食業界やサービス業界は無数にあります。
そして、その中で「日本食」は世界でも有数な美食で、さらに無形文化遺産にもなっているもの。
今後もどんどんフィーチャーされるし、就職先はとても多いでしょう。若いうちから給料が高い会社もいっぱいあると思います。
色々な会社がある中で、当然給料や待遇も大事ですが、労働環境も大事です。お金以上に“人”っていうのを大切にして欲しいなと思います。幹部の人や代表の方、働いている店長さん・社員さんと合うことはすごく大事です。
飲食業界は人手不足で、自分が「ここで働きたい!」って熱い想いがあればどこにでも入れます。だからこそ、人をしっかり見てもらいたいです。
その上で、その会社が何を目指しているのかしっかりと話を聞いてください。
自分の夢や目標を話し合ったりして、「その夢はここで叶えられるよ」「この部分は実現が難しいかもしれない」という話を聞く。この話し合いっていうのがすごく大事だと思います。
入社面接で、自分に合う会社を見分けるにはどうしたらいいでしょうか?
これまで色々な方に面接に来ていただいていますが、面接のときには言わなくても、実は「実は朝礼って嫌だよね」とか「情報共有するのってすごく億劫なんです」と感じていた人もいます。
ただ、「一人で生きていきたいです」みたいな人がいると、当社には絶対合いません。
会社と人がミスマッチを起こしているのであればいずれ辞めてしまいます。
面接のときには受かろうなんて思わずに自分の想いや考えをとにかくぶつけていってください。むしろ「私の考えを聞いてください。この会社で、私は成長できますか?伸びますか?」って逆に面接をするくらいのイメージでね。
本当に行きたいところへ行くべきで、そこで当社を選んでくれたら良いけれど、当社が全てでもありません。
やっぱり同じ価値観・考えの人でまとめて上がって行った方が絶対うまくいくし、その考えがあるところに行くべきです。
「自分の想いや気持ちを必ずぶつけていく」っていうのがすごく大切です。